惑星ぜんぶ見ようよ☆

プラネット・プラス

第2回 「広がり続ける太陽系」

渡部潤一氏

渡部潤一
(国立天文台准教授)

天文学者の国際組織「国際天文学連合」が、惑星の定義を定めた結果、冥王星が準惑星になって、惑星の数が減り、なんだか太陽系が小さくなった印象を持つ人がいるかもしれません。しかし、現実には、これは逆なのです。技術革新に伴って、次第に太陽系が広がり、いまでも拡大しつつあるのです。

前回述べたように、20世紀後半から発展してきた電子撮像技術により、それまでの銀塩写真に比較して、ざっと10倍から数十倍の高感度を得られるようになりました。これによって、さらに微かな天体が見つかるようになり、1992年以降、冥王星の仲間である「太陽系外縁天体」が続々と発見されてきたのです。これによって、冥王星は準惑星に分類されただけでなく、それらの仲間たちの分布が、どんどん外側にのびていきました。

惑星と太陽系外縁天体の軌道

8つの惑星の軌道(青)、冥王星の軌道(赤)、そしてそのほかの主な太陽系外縁天体の軌道(ピンク)

この太陽系外縁天体は、温度の低いところで生まれただけあって、氷と岩石が混ざり合った天体と思われています。冥王星などは表面にメタンの氷がありますが、その衛星カロンは表面に水(H2O)の氷が豊富にあることがわかっています。冥王星は海王星の軌道と重なるような格好になっていますが、周期比率が3:2となっているので、衝突したり接近したりすることがありません。こういった海王星との接近をさける一群や、海王星の外側を大きく回る一群、それにさらにその外側にはみ出しているものも見つかってきています。

太陽系外縁天体が集中しているのは、75億キロメートルまでですが、中には数百億キロメートルにも及ぶ天体も見つかっています。こういった天体は散乱天体とも呼ばれ、もしかするとさらに遠方にあると考えられるオールトの雲とつながっているのかもしれません。遠方で氷づけになっている太陽系外縁天体は、太陽系ができる時の物質をそのまま保存しているようなものですから、太陽系の化石ともいえます。これらを調べれば、太陽系の材料や形成史が解明されると期待されています。

今回の惑星の定義は、このような「広がり続ける太陽系」の姿を背景としているのです。いったい、まだ見えない太陽系の遠方の領域には、何が隠されているのでしょうか。

「プラネット・プラス」目次にもどる