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プラネット・プラス

第6回 「太陽系の小さな仲間〜流星〜」

佐藤幹哉氏

佐藤幹哉
(国立天文台広報普及員)

夜空を切り裂くように流れる流れ星。多くの方はご覧になった経験があるだろうと思いますが、この「流れ星」つまり「流星」も太陽系の仲間なのです。

ふたご座流星群

ふたご座流星群(2004年12月14日撮影)

「流れ星」と言ってももちろん、夜空の星、つまり恒星や惑星が移動しているわけではありません。その正体は、0.1mm〜数cmほどの大きさのダスト(塵)が、地球の大気に飛び込んで来た時に起こる「大気現象」です。塵というよりは、砂粒や崩れやすい小石のようなものを思い浮かべるとよいかもしれません。この粒が、秒速数十kmというかなりの高速で地球の大気に飛び込んでくると、さまざまな大気物質と衝突し反応を起こします。このときに光を放って、光の点が移動する「流星」として観察されるのです。ダスト自身は高温になって大気中で揮発してしまい、地上には落ちてきません。

では、この流星の元になったダストはどこからやってきたのでしょうか。実は、ほとんどのものは「ほうき星」つまり「彗星」が起源だと言われています。彗星は来月このコーナーで取り上げる予定ですが、彗星が太陽に近づいて高温になり、揮発性のガス物質が吹き出すときに一緒にダストも彗星から吹き出ます。このダストのうち、比較的大きいサイズのものが流星の元の物質「流星体」なのです。この流星体は、彗星から吹き出た後も、彗星と似たような軌道を持ってやはり太陽系の中を公転します。つまり太陽系の中には、彗星の軌道と同じように、流星体の流れの帯が存在することになります。

流星群の母天体の軌道

おもな流星群の母天体の軌道と地球軌道の位置関係

そして、この流星体の流れの帯と地球が交差すると、流星体がたくさん地球大気に飛び込み、流星がたくさん見られることになります。これが「流星群」と呼ばれるものの正体です。地球は1年で太陽のまわりを公転、つまり一周します。流星体の帯と遭遇する場所は、だいたい同じ場所ですから、そこを地球が通過する時期は決まってきます。つまり、毎年同じ日付の頃に、同じ流星群が見られ、たくさんの流星が見られるというわけです。ちょうど山手線に乗っていて、新宿駅に来れば必ず、中央線と交差する、というようなものです。

流星群の元になる流星体の流れの帯を作った彗星は、母天体とか母彗星と呼ばれます。例えば有名なハレー彗星は、みずがめ座η(エータ)流星群(5月6日前後)とオリオン座流星群(10月21日前後)という2つの流星群の母天体です。このほか、スイフト・タットル彗星は、ペルセウス座流星群(8月13日前後)を、テンペル・タットル彗星は、2001年に日本でも流星雨を降らしたしし座流星群(11月18日前後)を形成しています。

そして今月12月は、年間で最大の流星群と言われる「ふたご座流星群」が見られます。地球は毎年12月14日頃、ふたご座流星群の流星体の流れの帯と遭遇します。ふたご座流星群は、毎年1時間に50個以上、条件がよいときには1時間に100個を超えて流れることもある大流星群です。しかし、この流星群の母天体は、長い間見つかっていませんでした。母天体候補が見つかったのは20数年前の1983年のこと。この年に新しく発見されたフェートンと呼ばれる小惑星の軌道が、写真観測から求められたふたご座流星群の流星体の軌道とほぼ同じ軌道を描いていることがわかったのです。

しかし、フェートンは小惑星であり、彗星のように揮発物質やダストを放出していません。はたして、ふたご座流星群を形成するダストはどうやってできたのでしょうか。フェートンは大変古い昔、揮発物質といっしょにダストを大量に放出している彗星だったというのが有力な説です。太陽にとても近づく軌道を持っているため、揮発物質を全て出し尽くして、現在はその残りが小惑星フェートンとして見られているというものです。ただ、フェートンは典型的な小惑星だと主張する研究者もいます。ちなみに昨年話題となった惑星の定義の際に、小惑星と彗星は「太陽系小天体(small solar system bodies)」という一緒のカテゴリーの天体にまとめられました。彗星と小惑星の境目については、だんだんはっきりしなくなっているのも事実です。ふたご座流星群などの流星が、その正体に迫る鍵を握っているのかもしれませんね。

さて、ふたご座流星群の話題に戻りますが、今年は絶好の条件で観察することができます。ふたご座流星群は、夜21時頃から明け方5時頃まで観察できるのですが、最も流星が多く流れるとされる「極大」が、ちょうど12月14日晩のこの時間帯と重なるのです。またこの夜は月が21時までに沈み、流星観察の天敵となる月明かりの影響も受けません。12月14日夜から15日の明け方まで、ぜひともこの活発な流星群をお見逃しなく。

なお、流星群が流れてくるように見える方向(放射点)があるふたご座には、12月19日に接近する火星が明るく、赤く輝いています。また明け方まで観察すると、22時過ぎには土星が、3時過ぎには金星がそれぞれ東の空から上ってきます。12月14日は、流星観察とともに惑星の姿も楽しんでください(そしてぜひご報告ください!)。

放射点の位置の図

22時頃には、東の空高くにふたご座が上ってくる。流星はほぼ全天にくまなく流れるが、ふたご座流星群の流星を流れてきた方向にたどると、ふたご座にある図中の「放射点」の位置に集まる。

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